【事業譲渡の免責的債務引受け】M&A担当者必見!事業譲渡にこんな特例が!①
M&Aで最も一般的な手法は、事業譲渡と株式譲渡ですが、
事業譲渡だと、元の会社が残るため、通常、債権者が個別の承諾をしなければ、事業譲渡した後の売主(元の会社)に請求してくることだって起こり得ます。
でも、こんな事業譲渡のデメリットを解消する特例が、実はあるんです!
この取扱いは、会社法などに記載があるものではないため、弁護士や司法書士など、組織再編を取り扱う専門家の間でも、あまり知られていないかもしれません。
最近よく使われるようになった『経営力向上計画』ですが、こんな特例もあるんですね!
ちなみに、経営力向上計画が一番よく使われるのは、即時償却などの優遇税制である中小企業経営強化税制です。
(詳しくはこちら→「設備投資をお考えの中小、中堅企業の皆さま、必見です!」)
さまざまなメリットがある経営力向上計画ですが、
今回は、「事業譲渡の際の免責的債務引受けの特例」について、ご説明します!
そもそも事業譲渡って?
「事業譲渡」とは、会社の事業の全部又は一部を他に譲渡することをいいます。
M&Aで他社に経営を譲る際、株式を譲渡する場合と事業を譲渡する場合があります。
会社は株主のものですので、100%の株式を相手方に譲渡すると、会社ごとそのまま相手方に移ります。
一方、事業を譲渡する場合には、会社そのものは売主に残り、事業の一部か全部を切り出して、相手方に移ることになります。
例えば、許認可まで受け継ぎたい場合には、通常は株式譲渡にして、会社そのものを取得することになります。
(実は、許認可の種類によっては『経営力向上計画』で引き継げる特例があります!
詳しくはこちら→【許認可承継の特例】M&A担当者必見!事業譲渡にこんな特例が!➁)
逆に、簿外債務や他社の保証など、引き継ぎたくないものがある場合には、事業譲渡を選択するのが一般的です。
取引先との債権・債務はどうなる?
事業譲渡があった場合、得意先との売掛金・仕入先との買掛金などの債権・債務は、どうなるのでしょうか?
債権・債務は自動的には引き継がれません。
引き継ぐためには、相手先ごとに、個別に同意・承諾を得て、契約手続きを踏む必要があります。
それをしなかった場合、相手先は相変わらず売主に請求することになります。
(ちなみに、株式譲渡の場合には、その会社の債権・債務は、相手先との取引関係を含めて自動的に引き継がれます。)
免責的債務引受けって?
その事業には仕入先がたくさんいるので、一件一件了解を取りつけるなんて無理~
あるいは、売主側が、買主が債務をきっちり引き継いでほしい!事業譲渡をした後は売主に請求できなくしてほしい
という希望がある場合には、これまでは事業譲渡は選択できませんでした。
しかし、経営力向上計画の認定を受けて、一定の手続き(債権者保護手続き)を行うことで、債権者の同意があったものとみなされます。
つまり、一件一件債権者の同意を取らなくても、簡略な手続きによって、引き継ぐことができます。
また、この手続きをすると、事業譲渡をした後に、債権者は売主に請求することは出来なくなります。
売主と買主はともに大企業ではなく、買主は株式会社であることが要件です。
買主はご注意を
M&A(事業承継)の際に、株式譲渡ではなく、事業譲渡を選択する理由の一つに、必要なもののみ承継手続きをすることにより、潜在債務を遮断して、買主が想定外の債務を承継しないということがあります。
(注)商号を続用する場合など、事業譲渡を選択しても、潜在債務を遮断できない場合もあります。
この制度を利用した場合、売主には有利になりますが、買主にとっては、手間が低減されるメリットはあるものの、その事業に関する債務は包括的に承継することになるため、想定外の債務を引き継いでしまうこともあり得ます。
M&Aの買主がこの制度を活用するときには、DD(デューデリジェンス)手続きをしっかり行うなど、慎重な対応が必要となります。
経営力向上計画も事業譲渡もクオリスへ
さまざまなメリットがある経営力向上計画ですが、
経営力向上計画の策定のお手伝いは、経営革新等支援機関が担うこととされています。
クオリスは、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣より認定された経営革新等支援機関です。
また、クオリスは、事業譲渡をはじめ、会社分割などの組織再編全般について、深い知識と豊富な経験があります。
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